URUSHI OHTAKI 漆の基礎知識

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  • 漆のおはなし

    日本を代表する工芸でありながら、漆については、案外知られていないことが多いのではないでしょうか。漆職人として、30年この生業に携わった経験から、漆についての様々なお話をまとめてみました。今後随時、追加していきます。

    第1話 漆は木の生命そのものなんだ

    漆の木
    漆を撮るために、
    全身傷だらけになった漆の木

     うちには時々、新潟市などから大勢の中学生が巡検学習や体験学習に訪れるのですが、 そのとき漆の説明をするため、中庭に漆を採取して伐採した後の「うるしの木」が立てかけてあります。 何本も深い傷が付けられたその肌をなでながら、ぼくは彼らにこんな話をします。

     「うるしの木はね。苗を植えてからだいたい12年くらいでこのくらいの太さになり、漆がとれるようになるんだよ。 そう、ちょうどみんなと同じくらいの年齢かな。でもね。漆を採るのは1年間だけで、あとは伐採されちゃうんだ。12年もかけて、やっと大きくなったのに、こんな風に全身傷だらけになって、たった1年で切り倒されちゃうなんて、かわいそうだ よね。でもそれだけ、漆というものがいかに貴重なものかわかるでしょ。工場で作られる単なる塗料と違って、漆は木の生命そのものなんだよ。」

     じつは、木を育てながら少しずつ漆を採取する「養生掻き」というやり方 もあるのですが、日本では古来から多く「殺し掻き」という方法が行われ てきました。6月頃から漆を採り始め、11月頃までかかって、木が枯れ るまで、採れるだけの漆を採り尽くしてしまう方法です。そうやって1年 間で採取した漆液は、大振りの茶碗約1杯分ほど。その後、木は根元から 伐られますが、その切り株から翌年また芽生え、約8年するとまた漆が採 れるようになります。

     漆が木の樹液だということは広く知られていますが、いつも幹の中を漆液 が流れているのだと思っている方が多いようです。そうではなくて、傷を 付けられることによって初めて、その傷口をふさぐために、木は漆をつく るのです。ちょうど私たちのからだに、血を固めて傷口をふさぐ働きがあ るのと同じですね。いずれにしても漆は、木の生命が育んだ天然の素材で、 漆器として塗られたあとも生きていることを、もっと多くのかたに知って いただけたらうれしいです。

    第2話 世界最古のお椀

    漆の木
    世界最古のお椀

    (中国河姆渡遺跡出土、東京美術
    「アジアのうるし・日本の漆」より)

     漆は、いったいどのくらい前から、私たちの生活の中で使われてきたのでしょうか。

     現在、最古の漆器の出土品といわれているのは、中国の長江が海に注ぐあ たりにある「河姆渡(かぼと)遺跡」から出た朱塗りのお椀です。年代は 約7000年前。この遺跡からは、大量の米やわらの跡が発見されているそう ですから、おそらくここの人たちは、朱塗りのお椀でご飯を食べていたの でしょう。驚くべき高度な文明を持っていた人たちのようです。

     いっしょに出土した土器などを見ても、呪術的な装飾などはなく、素直で 伸びやかな美しさがあり、いずれも用途に適合した使いやすいデザインで、 たぶん私たちの生活様式と変わらないものを持っていたのかもしれません。 この漆塗りのお椀も、丸みのある柔らかい形で、しっかりした高台もつい ています。また驚くことに、内側をろくろのようなもので、しっかり刳っ てあるとともに、下塗りには黒漆、上塗りには朱漆を使い、いまでも艶や かな輝きを失っていません。これはすごいことだと思いませんか。

     漆は7000年経っても、その品質が劣化しないことを証明しているわけです。 一口に7000年と言いますが、古代エジプトのピラミッドができたのが、今 から約4500年前ですから、それよりさらに2500年も前になるわけです。 いかに漆という素材が、優れたものかがおわかりになると思います。

     この優れた漆は東アジアにしかなく、しかもその中でも日本の漆はとりわ け品質が良いわけですから、もし戸棚の中にでもしまわれている漆器があっ たら、ぜひ普段の暮らしの中で使わないともったいないですね。

    第3話 漆は採る時期で質が違うんだ



    生漆(きうるし)

     うるしの木の仲間には、「やまうるし」「つたうるし」「ぬるで」「はぜ」などがあります。みな紅葉は美しいのですが、そのうち漆液が採れるのは、うるしの木だけで、採る時期や場所により、その品質が少しずつ違います。

     漆の採取は6月中旬頃から行います。まず下草を刈り、十分風通しや日当たりをよくした後、約40センチの間隔で長さ1〜1.5センチくらいの傷を付けます。これを「目立て」と言い、漆を掻く目安にするとともに、木に刺激を与え、「さあ、これから始めるぞ」と木に知らせて、どんどん漆を製造してもらおうというわけです。

     そして、その「目立て」の傷の上に、一日に1本ずつ、少しずつ長くしながら傷をつけ(これを「辺」と言います)、そこからわずかに浸みだした樹液を採るのです。一般の人の中には、まるでゴムのように、勢いよく樹液が流れ出すのを想像する方もおられますが、実際は傷の上にわずかににじむ程度です。

     6月から7月初めに採ったものは「初もの」「初辺(はつへん)」または「初鎌(はつがま)」と言って水分が多いのですが、乾きが良いため、中塗りなどに使います。そのあと7月中旬から8月にかけて採ったものは、「盛りもの」「夏物」または「上辺(じょうへん)」と言い、一番質が良く、色漆用、上塗り用です。その後は徐々に質が落ちていき、9月頃のものは「末うるし」または「あと鎌」と言って、下地塗り専用です。

     さらに10月頃には、「裏目」と言って、少し長い傷を付けて漆を採り、最後に「止掻き」と言ってぐるりと幹を一周する傷を付け、木に「とどめ をさす」わけですが、そこから採った漆は、それぞれ「裏目漆」「止漆」で、これも下地用です。

     そして木を伐採し、枝を切ってそれを水にさらし、特殊な包丁で痛めつけて、そこからも漆を搾り取ります。これを「枝漆」または「瀬〆(せしめ)漆」と言い、同じ下地用でも、接着等に使ったりします。まさに徹底的に漆を採り尽くすという感じですね。

     こうして採った漆は、「生漆(きうるし)」と呼ばれますが、中国産で、1キログラム1万円から1万6千円ほど、日本産では8万円以上もします。まあ、1本の木の生命と、漆掻きをする人の並々ならぬ手間がかかっているのですから高いのも当然ですが、せっかく植えた漆の木が、採算が合わないために放置されているところもあるようです。「良いものを長く使う」という古くからの生活習慣を復活させることで、漆の木や文化を長く後世に残したいものだと、あらためて思います。

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